神奈川県立保健福祉大学大学院 
ヘルスイノベーション研究科(仮称)

プレ講座

「Introduction to Health Innovation」

プログラム

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第1回 2017年9月22日(金)19:00-21:30

「神奈川県におけるヘルスケア・ニューフロンティア政策の取り組み」

首藤 健治(神奈川県副知事)

1991年京都大学医学部卒業。1993年厚生省入省。保険局、大臣官房統計情報部などで医系技官として医療行政に取り組み、1996年からハーバード大学に留学し公衆衛生学を学ぶ。
2009年9月から厚生労働省大臣政務官室調整官、2011年1月から内閣官房医療イノベーション推進室企画官等を経て、2012年4月から神奈川県参事監(国際戦略総合特区、医療政策担当)、2013年4月から神奈川県理事(国際戦略総合特区、医療政策担当)、2014年4月から神奈川県理事(ヘルスケア・ニューフロンティア、医療政策担当)、2016年4月から神奈川県理事(特定行政課題担当:ヘルスケア・ニューフロンティア政策、医療政策担当)。
2017年6月から神奈川県副知事として、ヘルスケア・ニューフロンティア政策、県民局、保健福祉局を担当している。

講演内容

神奈川県は、全国でも一、二を争うスピードで高齢化が進行しており、超高齢社会による急激な社会変化を乗り越えるための対応を迫られています。そこで県では、「未病の改善」と「最先端医療・最新技術の追求」という2つのアプローチを融合させた取組みを進めることで、健康寿命の延伸と新たな市場・産業の創出を目指す「ヘルスケア・ニューフロンティア政策」を推進しています。本講演では、ヘルスケア・ニューフロンティア政策の取り組みと、その中で新研究科がどのような役割を果たすのかを紹介します。


「大学院ヘルスイノベーション研究科の概要~未病とヘルスイノベーション~」

大谷 泰夫 (神奈川県参与)

1953年生まれ。1976年東京大学法学部卒業。内閣参事官、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、厚生労働省大臣官房長、厚生労働省医政局長、厚生労働審議官を務める。
2014年5月、内閣官房参与に就任(2016年7月まで)。2015年4月国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)理事(2017年3月まで)、同年7月には神奈川県参与に就任。

講演内容

県立保健福祉大学に設置を予定している新たな大学院では、公衆衛生学を基盤としながら、保健医療・ビジネス・行政政策などの様々な分野・領域の教育研究を実施する予定です。本講演では、新研究科の概要や教育研究の内容を紹介するとともに、「未病」の考え方について解説し、未病の改善に向けて新研究科でどのような取り組みが必要か述べます。


「なぜいまヘルスイノベーションか」

鈴木 寛 (神奈川県参与、東京大学公共政策大学院教授、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)

1964年生まれ。
東京大学法学部卒業後、1986年通商産業省に入省。慶應義塾大学助教授を経て、2001年参議院議員初当選(東京都)。12年間の国会議員在任中、文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化・情報を中心に活動。
2014年2月より、慶應義塾大学政策メディア研究科兼総合政策学部教授と東京大学公共政策大学院教授に同時就任、日本初の私立・国立大学のクロスアポイントメント。10月より文部科学省参与、2015年2月文部科学大臣補佐官就任。日本サッカー協会理事、OECD教育政策アドバイザー、世界経済フォーラム未来会議委員など。

講義内容

なぜいまヘルスイノベーションが重要なのか。近年の我が国における健康・医療分野における政策、技術動向を概観したうえで、次世代のイノベーションを担う人材育成の重要性と神奈川県立保健福祉大学に設置予定の新研究科が果たす役割について、エコシステムの観点から考えます。


グループワーク「未病社会に求められるものは? ~多様なアプローチによる可能性の模索~」

吉田 穂波(神奈川県立保健福祉大学准教授、神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室シニアプロジェクトリーダー)

産婦人科医師、医学博士、公衆衛生修士
1998年三重大学医学部卒業。2004年名古屋大学大学院にて博士号取得。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、2008年ハーバード公衆衛生大学院に入学。2年間の留学生活を送る。2010年に公衆衛生修士を取得後、同大学院のリサーチ・フェローとなり、日米で少子化研究に従事。2012年より国立保健医療科学院主任研究官。国内外で周産期医療の研修や研究、母子保健事業の支援、災害時の母子支援事業構築を手がける。仕事と育児の両立で多忙を極めるなか、ママドクターとして雑誌の取材やインタビュー、講演を通じて、子育て世代のサポートに力を尽くす。2017年4月より神奈川県保健福祉局にて地域や自治体における母子支援連携ネットワークの構築に取り組む。著書に『「時間がない」から、なんでもできる!』(サンマーク出版)など多数。4女1男の母。

講義内容

本プレ講座のアイスブレイクを目的として、受講目的、ヘルスケアに関する関心や問題意識、今後の期待と展望について自己紹介を行う。また、自らの経験に照らして「未病」が新たにどのような価値を生み出しうるのか、未病社会における課題解決の方法、次世代次々世代に向けたヘルスイノベーションに必要な人材などについてグループディスカッションを行い、未病へのアプローチが多様であることを理解することを目指す。


第2回 2017年10月13日(金)19:00-21:30

「未病と行動変容:センター・オブ・イノベーションの活動から」

鄭 雄一(東京大学大学院 工学系研究科・医学系研究科教授)

医工学者/東京大学工学系研究科・医学系研究科教授、東京大学センター・オブ・イノベーション研究リーダー
1964年新宿区戸山生まれ。
平成元年に東京大学医学部医学科を卒業、内科研修医および医員として勤めた後に、東京大学大学院医学系研究科に入学。在学中の平成7年に米国マサチューセッツ総合病院に留学し、ハーバード大学医学部講師、助教授を勤めた後、平成13年に東京大学に戻り、平成19年より現職。専門は、骨・軟骨の生物学、再生医学、バイオマテリアル工学。医学と工学を融合することで、生体に働きかけて治療や再生を促す高機能デバイスの開発に従事している。東京大学センター・オブ・イノベーションでは、「自分で守る健康社会」という将来ビジョンのもと、10以上の企業‐アカデミアプロジェクトを統括し、「入院を外来に、外来を家庭に、家庭で健康に」をテーマに、健康状態を可視化し行動変容を促すことで、健康医療イノベーションを興そうと試みている。イノベーションと道徳の関わりについても研究している。

講義内容(講義は日本語、配布資料は英語を予定)

東京大学センター・オブ・イノベーションでは、「自分で守る健康社会」という将来ビジョンのもと、「入院を外来に、外来を家庭に、家庭で健康に」という目標に向かって健康医療の研究開発を進めています。上記の目的に取り組むにあたり、従来の「健康」と「病気」という二元論では十分に対処できないことが分かってきました。「健康」と「病気」は、実際は連続していると捉えるべきで、それはまさに未病の概念そのものです。
未病を改善するには、まず未病を計測して可視化しなければなりません。センターでは、データ科学・センサー技術・AIなどを駆使して未病の可視化に取り組んでいます。しかし、可視化に成功しただけでは、個人の行動は十分に変容しないこともわかってきました。行動変容を促すには、医療専門家の関与、健康リテラシー、仲間づくり、習慣化などの科学技術以外の側面が重要です。本講義では、未病と行動変容の関係について議論したいと思います。


「臨床研究イノベーションの品質管理ツールとしての臨床統計」

竹内 正弘(神奈川県顧問、北里大学薬学部臨床医学教授)

北里大学 薬学部 臨床医学教授 、ハーバード公衆衛生大学院 Adjunct Professor、神奈川県 顧問
1991年11月Department of Biostatistics, Harvard School of Public Health(ハーバード大学公衆衛生学大学院 生物統計学部)にて生物統計学における博士号を取得。同年12月にFDA(US Food and Drug Administration, 米国食品医薬品局)に入局。1999年4月に北里大学薬学部に臨床統計学研究室を開設して教授に就任。2000年1月に、ハーバード大学公衆衛生学大学院生物統計学部と北里大学薬学部臨床統計部門との間に学術交流協定を結び、「北里・ハーバードシンポジウム」を、2014年まで毎年開催した。2007年Distinguished Alum Award from Harvard School of Public Health を受賞。2012年、Harvard School of Public HealthのAdjunct Professorに就任。2014年に神奈川県顧問(レギュラトリーサイエンス担当)に就任し、かながわクリニカルリサーチ戦略研究センターを立ち上げ、センター長を務めている。

講義内容(講義、配布資料ともに英語を予定)

近年,医療関連研究においては,医療データによる検証が求められてきています。日本においては,欧米と比較すると疫学研究の数が少ないため,「医療ビッグデータ」と言えるような疫学データにアクセスできる可能性は皆無に等しいと言っても過言ではありません。本講義では,臨床現場の少数データから,如何にイノベーティブな臨床研究の実施を可能にするかについて,品質管理ツールとしての視点から臨床統計学の適応を解説します。特に難病についての臨床研究に焦点をあてます。


第3回 2017年11月24日(金)19:00-21:30

「イノベーションとレギュレーションの共進化」

加納 信吾(東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻准教授)

1989年東大大学院農学系研究科応用生命工学専攻修士課程修了、2002年学術博士(科学技術政策、東大先端研)。1989年~㈱野村総合研究所、野村證券㈱金融研究所、野村R&A㈱、2002年~2013年Aphoenix,Inc.(大学発創薬ベンチャー)代表取締役、2006年~2009年芝浦工大大学院工学マネジメント研究科教授、2009年~2011年大阪大学先端科学イノベーションセンター客員教授、㈱医学生物学研究所取締役を経て、2013年7月よりメディカル情報生命専攻バイオイノベーション政策分野准教授。

講義内容

「未病」が従来の「医療」の考え方にどのようなインパクトを与えるのか。レギュラトリーサイエンスとイノベーションの観点から、「未病」が切り開く新たな可能性について考えます。イノベーションのあり方を考えるうえでは、研究開発や製品化のみならず、どのようにして適切な規制をデザインするかが重要です。イノベーションを阻害せず、むしろそれと共進化していくような規制をどのようにして構築していくのか。医療分野における現状をもとに考えます。


「技術イノベーションのビジネス化戦略」

樋原 伸彦(早稲田大学大学院経営管理研究科准教授)

1988年東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒業、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。世界銀行コンサルタント、通商産業省通商産業研究所(現・経済産業省経済産業研究所)客員研究員、米コロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所助手、カナダ・サスカチュワン大学ビジネススクール助教授、立命館大学経営学部准教授を経て、2011年から現職。米コロンビア大学大学院でPh.D.(経済学)を取得。専門はファイナンス全般、特にベンチャーキャピタル、イノベーションのためのファイナンスなど。早稲田大学イノベーション・ファイナンス国際研究所所長。

講義内容(講義、配布資料ともに英語を予定)

技術イノベーションと一言でいっても、その技術自体、その技術が生み出す製品・サービス、また、その製品・サービスを需要する市場、等々にはそれぞれ大きな違いがあります。言い換えれば、技術イノベーションをビジネス化しようとした場合、そのビジネス化に伴うリスクのプロファイルも大きく異なってきます。本講義では、往々にしてハイテクと一括されてしまうICTビジネスとライフサイエンス・ビジネスの2分野の差異に焦点を当てながら、技術イノベーションのビジネス化のプロセスが取っていかなければならないリスク、さらには、そのリスクの克服に英知が求められていること、を参加者の皆様と共に実感できればと考えています。


第4回 2017年12月8日(金)19:00-21:30

「科学技術と社会」

八代 嘉美(京都大学iPS細胞研究所特定准教授)

1976年愛知県名古屋市生まれ。名城大学薬学部卒業、東京大学医学系研究科病因・病理学専攻修了。慶應義塾大学医学部総合医科学研究センター特任助教、東京女子医科大学先端生命医科学研究所特任講師、慶應義塾大学医学部幹細胞情報室特任准教授を経て、2013年4月より現職。
専門は幹細胞生物学、科学技術社会論。再生医療研究とSF小説などを中心とするポピュラーカルチャーを題材に「文化としての生命科学」の確立を試みている。またメディアを通じた情報発信を行い、社会と協調しながら「生命のありかた」について考える。
著書に『iPS細胞 世紀の発見が医療を変える』(平凡社新書)、共著に『再生医療のしくみ』(日本実業出版社)、『死にたくないんですけど iPS細胞は死を克服できるのか』(SB新書)、訳書に『幹細胞-ES細胞・iPS細胞・再生医療-』(岩波書店)などがある。   

講義内容

近年、高齢化の進展によって再生医療が社会から大きな期待と注目を集めている。我が国においては世界に先駆けて再生医療を推進する法律が作られるなど、政策的・財政的にも大きな支援をうけています。その一方で、大きな期待(hope)は熱狂となり(hype)、科学的根拠のない治療や、安全性確保が不透明な行為などの温床となっているという指摘もあります。そうした中で、「責任ある研究・イノベーション(RRI)」と呼ばれる科学研究の在り方が注目を集めています。RRIでは現在の研究活動と、それがもたらす知識について社会と共有し、そのコンセンサスを基盤に未来へのインパクトを洞察しながら再帰的に研究を進めていくことを求めています。すなわち、再生医療においても非専門家、いわば社会との情報共有を基盤として不適切な行為を排除するとともに、研究の「倫理的・法的・社会的課題(ELSI)」について意見の交換によるコンセンサスの形成を行うことが必要となります。本講義では、再生医療を題材に、先端医療で求められるRRIやELSIについて考察を行います。


「ヒューマンサービスとヘルスケアイノベーション」

中村 丁次(神奈川県立保健福祉大学学長)

徳島大学医学部栄養学科卒、医学博士(東京大学)。
聖マリアンナ医科大学病院を経て、平成15年から本学教授、平成23年から本学学長に就任。
公益社団法人日本栄養士会名誉会長、日本栄養学教育学会理事長、日本臨床栄養学会副理事長、日本栄養・食糧学会評議員、厚生労働省:日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会座長 等。

講義内容

神奈川県立保健福祉大学は、開学以来、高い倫理観、多様性を認め合える寛容の精神、人権意識を根底に持ち、深い洞察力、鋭い感性を備えてヒューマンサービスを実践できる人材の養成を行って来た。新たに創設される大学院(新研究科)では、公衆衛生学の知識と技術を活かして、ヘルスケア産業、健康・医療・福祉政策、さらに関連する研究領域に、新たな価値が創造でき、人・組織・社会に幅広い変革が起こせる人材養成を目指している。今回は、自分が専門とする栄養・食事を例に取り上げ、健康寿命の延伸、未病との関係を論じながら、ヘルスケケアノベーションの必要性や方法を検討してみたい。


第5回 2017年12月15日(金)13:00-17:00

殿町視察ツアー(川崎市殿町地区)

・公益財団法人 実験動物中央研究所
・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 東京サイエンスセンター


ゲストスピーカー講演

土屋 了介(神奈川県顧問、神奈川県立病院機構理事長)

慶應義塾大学医学部卒業。日本鋼管病院、国立がんセンターなどを経て、平成18年に国立がんセンター中央病院院長。平成22年財団法人癌研究会顧問、平成23年公益財団法人がん研究会理事、平成25年神奈川県顧問、平成26年地方独立行政法人神奈川県立病院機構理事長に就任。


グループワーク「ヘルスイノベーションに向けて何を学びたいか」

渡邊 亮(東京医科大学総合情報部大学・大学病院情報システム室助教)

神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室プロジェクトリーダー、神奈川県立保健福祉大学研究員、国立研究開発法人日本医療研究開発機構科学技術調査員、一橋大学社会科学高等研究院医療政策・経済研究センター客員研究員
医療情報技師、博士(商学)、公衆衛生学修士(専門職)
オハイオ大学(医療管理学専攻)卒業後、クリーブランド・クリニックでビジネスインターンを経験。帰国後、外資系病院コンサルティング会社に勤務。その後、東京大学大学院医学研究科公共健康医学専攻に進学、臨床疫学・経済学分野に在籍し2011年に同専攻を修了、公衆衛生学修士(M.P.H.)を取得。2012年より一橋大学大学院博士後期課程に進学、医療における管理会計をテーマとして2015年3月に同課程を修了、博士(商学)を取得。東京医科大学を経て、2017年9月より現職。専門は、医療アクセスの公平性、医療技術評価、医療マネジメント研究。

講義内容

このグループワークの狙いは、本プレ講座が提示する『ヘルスケア領域におけるイノベーションとは何か』という問いに対して、その解を見いだすための具体的な糸口を発見することである。 本講座の初回には、未病社会におけるヘルスケアシステムの諸課題について、受講生同士が議論を行い、その重要性やプライオリティについて検討した。今回のグループワークでは、その後の講義で学んだヘルスケアを取り巻く最新のイノベーションに関する知見を踏まえ、諸課題に対する捉え方の変化や、課題解決のための方策について議論を行い、未病の改善に向けたアプローチを検討する。



新研究科の設置構想は予定であり、今後変更になる場合があります


神奈川県立保健福祉大学大学院 ヘルスイノベーション研究科(仮称)
プレ講座 「Introduction to Health Innovation」


主催
 神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室
 メディカル・イノベーションスクール設置準備グループ
 [TEL]045-285-0777

協力
 政策シンクネット http://thinknet.org/

お問い合わせ
  一般財団法人SFCフォーラム MISプレ講座事務局
 〒252-0816 神奈川県藤沢市遠藤5322
 [お問い合わせ用E-mail] mis-pre-course[at]sfc-forum.or.jp
 [ウェブサイトURL] http://thinknet.org/mis-pre-course2017/

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